2026年の作業机を占拠する超重量級の怪物:MG Ex-Sガンダムは今なお買うべき傑作か、それとも時代遅れの苦行か
mg ex s ガンダム レビューの文字を検索窓に打ち込んだモデラーの多くは、いま模型店の棚の前で、あるいは再販通知が光ったスマートフォンの画面越しに、あのPG(パーフェクトグレード)と見紛うばかりの巨大なパッケージを前にして立ち尽くしているはずだ。「買えば確実に満足する」という熱狂的な信仰と、「組んだら最後、二度と机が片付かない」という歴戦のモデラーたちの警告。その両極端な声が交錯する理由は、箱の重みを手にした瞬間、直感的に理解できる。
最新の成形技術や洗練されたKPSフレーム構造が当たり前となった2026年のガンプラシーンにおいて、数多のmg ex s ガンダム レビューが「規格外の怪物」としてこのキットを語り継ぐのには明確な根拠がある。単なるノスタルジーではない。令和の超精密キット群をいくら並べようとも決して代替できない、狂気じみた密度と独特の威圧感がそこにあるからだ。
箱を開けた瞬間に覚悟を迫られる「ランナー40枚超」の物量
パッケージを開口した瞬間、目に飛び込んでくるのは整然としたプラスチックの山ではない。地層だ。40枚を超えるランナーと、太い金属製ビス、専用の大型ディスプレイベースが重なり合い、箱の底すら見通せない。組み立てに必要な時間は素組みだけでも15時間から20時間を優に超える。
近年の「組みやすさ」「パーツの最適化」を追求したキットとは思想の根底が異なる。切り出しても切り出しても、ランナーの総数が一向に減らない。ゲート処理を数工程こなした程度では、進捗ゲージがミリ単位でしか動かない錯覚に陥る。休日の午後を丸ごと飲み込むだけの質量が、そこには物理的に凝縮されている。
2003年設計の骨格と2019年外装が同居する「歪なアップデート」の真実
現在流通している「MG 1/100 Ex-Sガンダム/Sガンダム(Ver.1.5)」を評価する上で避けて通れないのが、その内部構造のハイブリッド性だ。頭部、肩部、胸部、そして脚部の装甲パーツには「MG ディープストライカー」で培われた新規金型が惜しみなく投入されている。プロポーションは劇的に洗練され、ブルーとホワイトのスプリッター迷彩も成型色で見事に再現された。
だが、その美しい装甲を剥ぎ取ると現れるのは、2003年の初期MGから受け継がれた頑強なABS製フレームとポリキャップの構造だ。最新のフレームのように指先一つでしなやかに動くわけではない。肉厚なプラスチックをビスで力任せに固定するあの独特の手応え。四半世紀近く前のバンダイスピリッツの設計思想と、近代的なハイディテール造形が同一の機体の中でせめぎ合っている。
ビス止め関節が生む剛性と「ポージング拒絶」のジレンマ
巨大なビーム・スマートガンを構え、背部に2基の巨大なプロペラントタンクとブースターユニットを背負う。この総重量に耐えうる関節強度の解として、本キットは容赦なくプラスドライバーの使用を要求する。精密ドライバーでねじ込むビスのトルク感。締めすぎればプラが白化し、緩ければ巨大な武器の重みで腕が垂れ下がる。
結果として完成する機体は、アクションフィギュアのような自由闊達なポージングを完全に拒絶する。足首の接地性はほぼ皆無。自立など最初から想定されていない。付属の専用スタンドにガッチリと固定し、わずかにスマートガンを傾け、太腿を開いて空間に固定する。それで十分だ。ミリ単位の微調整でポーズを決め、一度ディスプレイに固定したなら、二度と触る気すら起きなくなる。その不動の佇まいこそが、この機体の本質だからだ。
Gクルーザー変形という名の狂気——塗装派モデラーが震えるクリアランス
巡航形態「Gクルーザー」への完全変形ギミック。それは機設上のロマンであり、モデラーにとっては最も神経をすり減らす通過儀礼だ。肩の複雑なスライド、胸部インコムの展開、主翼の連動、そして脚部の極めてタイトな折りたたみ機構。パーツ同士が擦れ合うギリギリのクリアランスで設計されている。
もし全塗装で仕上げようと考えているなら、変形シーケンスは悪夢に変わる。塗膜の一撃死を覚悟しなければならない箇所が複数存在するからだ。実際、多くのモデラーが一度モビルスーツ形態で組み上げたが最後、Gクルーザーの姿を拝むことなくディスプレイケースに収めている。だが、その「変形できる機構が内部にぎっしりと詰まっている」という事実そのものが、外装の隙間から覗くメカニズムに圧倒的な説得力を与えている。
2026年の再販市場と最新キット比較で見える「唯一無二の工芸品」価値
ガンプラ製造拠点の拡張を経て、極端な品薄が落ち着きを見せつつある2026年の模型市場においても、Ex-Sの存在感は色褪せない。ゼータガンダム Ver.Kaのような洗練された組み立て体験や、最新SEED系キットのような躍動感あふれる可動域を持つ製品と並べた時、このキットが放つ異様な重圧感は際立っている。
スマートで組み立てやすいガンプラが主流となった現代だからこそ、この「作り手を選ぶヘビー級キット」の価値が逆説的に高まっている。タイパや手軽さとは正反対のベクトル。ニッパーを握る指に豆を作り、説明書の分厚さに圧倒されながら数日かけて机と格闘する体験は、もはやプラモデルの組み立てというよりは、巨大な立体工芸品を削り出す儀式に近い。
完成させた者だけが浴びる「圧倒的なデスク上の暴力」
数日におよぶ苦闘の末、最後のビーム・スマートガンを両手で保持させ、スタンドにセットした瞬間。机の上に立ち現れるのは、高さ約30センチ、奥行き約40センチに及ぶ「プラスチックの要塞」だ。デスクの作業スペースは完全に消失する。しかし、その圧倒的な存在感を前にすれば、失われた作業スペースなどどうでもよくなる。
複雑に入り組んだフレームの重なり、鋭角的な航空機の記号と巨大ロボットの融合、そして人工知能「ALICE」を宿す胸部ブロックの威容。苦労した工程のすべてが、そのまま立体としての説得力へと変換されて網膜を焼く。手軽にサクッと完成させたいなら、絶対に手を出してはならない。だが、日常のデスクに一生モノの「威圧感」を叩き込みたいと望むなら、この怪物を超える選択肢は今なお存在しない。 (出典: mg ex s ガンダム レビュー(Yahoo!ニュース))